終活コラム
vol.159
埋葬料の受給手続き
埋葬料とは
亡くなった方が会社員などで健康保険に加入していた場合、「埋葬料」というものが支給されます。 また亡くなった方が個人事業主などで、健康保険ではなく、国民健康保険に加入していた場合は、埋葬料ではなく「葬祭費」という名目で埋葬料と同様に支給されます。 時効はどちらも2年です。 これは申請をしないと支給されないので、知らないと損をすることになります。 みなさんはこの「埋葬料(葬祭費)」の存在を知っていましたでしょうか?
埋葬料の支給について
その埋葬料の申請対象になる人は、基本的に亡くなった方との間で生計を維持されていて、なおかつ埋葬を行った方に埋葬料として一律5万円の支給がされます。 例えば、会社勤めの夫が亡くなった時には奥様に埋葬料が支払われるということです(もちろん、その他にさまざまなパターンがあります) 言葉や表現の違いはありますが、位置付けとしては「葬儀を行った人(喪主)に支払われるお金」といった形になります。 埋葬料を支給する対象者がいない場合には、実際に埋葬を行った人に対して埋葬費として5万円の範囲で支給されます。 この場合、申請時に葬儀にかかった費用を示す領収書を持参して申請を行います。 その際、領収書には故人の名前など、どの人の葬儀だったか分かる文言が記載されていないと申請ができませんので注意してください。 申請時には印鑑も必要になります。 また被保険者の家族が亡くなった場合には「家族埋葬料」として、これも同様に一律5万円が支給されます。 会社が健康保険組合に加入した場合は組合の制度によっては、付加給付がある場合もあり別に数万円が別途支給されることもあります。 会社員である場合は、会社が代わって手続きをしてくれることが多いので確認しましょう。 続いて、身寄りがない被保険者が亡くなった場合は、実際に葬儀を行った人に埋葬料が支払われるのですが、この場合は実際にかかった葬儀費用の実費が支払われます。 ですので、身寄りがない方が亡くなった場合でも健康保険に加入していれば、葬儀にかかる費用の心配は軽減されます。 葬祭費の申請は、亡くなった方が住んでいた市区町村役場の窓口に、葬儀を行った喪主や実際に費用を支払った方が、葬儀にかかった費用を示す領収書を持参して申請を行うことになっています。 領収書は埋葬料の申請と同様、故人の葬儀だと分かるものでないと申請がおりませんので注意していください。 こちらも印鑑が必要です。 葬祭費は加入していた市区町村により支給額が異なりますが、1~7万円の範囲で支給されるようです。 また他の制度により別の給付金が受けられる場合もあるので、窓口で確認をしてみてください。
請求のしかた
- 請求用紙
- 「健康保険埋葬料」請求書 (請求先にあります) ※葬祭費の請求の場合は「国民健康保険葬祭費支給申請書」(申請先にあります
- 請求人
- 遺族または葬儀を行った人
- 請求先
- 被保険者の勤務先を管轄する会社保険事務所または勤務先の健康保険組合 ※葬祭費の場合は、被保険者の住所がある市区役所・町村役場
- 必要なもの
- 健康保険証(葬祭費の場合は国民健康保険) 死亡診断書 葬儀費用の証明書 ※領収書がない場合は、葬儀社の案内状、電話番号、喪主が確認できる書類を提出 印鑑(喪主のもの)
- 請求期限
- 死亡した日から2年
※必要書類は請求先によって異なりますので、ご確認ください。
業務上または通勤災害で亡くなった場合
仕事の業務上、または通勤途中の災害で亡くなった場合に支給されるものに「葬祭料」というものがあります。 この場合は健康保険から支給されるのではなくて、労災保険から「葬祭料」という名目で支給されます。 葬祭料の支給対象となるのは必ずしも遺族とは限らず、業務の途中で亡くなった場合は社葬として葬儀を行う場合があり、その時の葬儀料は遺族ではなく会社に対して支給されることになります。 労災ではその他に、遺族補償給付といって葬祭料とは別に支給される制度もありますので、該当する場合は勤務先に確認しておきましょう。
最後に
このような支給制度については、葬儀社の人が丁寧に説明をしてくれると思うのですが、その他にもたくさんやらなければならないことが葬儀にはあり、後回しになって忘れてしまうなんてこともあります。 また、最近ですと葬儀を行わないという選択をする家庭もあり、そういった場合には給付制度について教えてくれる業者もいません。 葬儀をすることは、様々なことを短期間でクリアしていかなくてはならず、ついつい後回しになってしまうことがあるのですが、葬儀を終えてからも見直して確認をすることで給付制度なども気づくことができます。 このような制度を賢く使って、葬儀の負担を少しでも軽くしていきましょう。