終活コラム
vol.82
今さら人に聞けない法事・法要の基礎知識
人が亡くなると、それに纏わる仏教行事として葬儀と法事があります。法事は葬儀以上に、知っているようで知らないのが現実ではないでしょうか。 ここでは改めて法事に関して色々な角度から考えてみたいと思います。
法事の意義
法事は仏教国でも日本独自と言ってもよい行事として定着したもので、故人の死後の供養として行われ、故人への祈りの場であると共に、遺族が故人との死別から少しずつ立ち直るための行事と言う意味が強いものです。 法事で親族や故人の親しい友人などが集う事で、遺族が故人を通して人の繋がりを感じ、それにより悲しみが癒される効果があるのです。
忌日法要と年忌法要
法事と似た表現で、法要と言う言葉があります。お寺さんの読経を頂く宗教行事を法要と呼び、その後の参列者での会食を含めた行事全体を法事と呼びます。 この法要は、死後100日までの法要を忌日法要と言い、それ以降の定められた年単位の法要を年忌法要と呼んでいます。 忌日法要は、初七日以降、七日毎に執り行い、七七日が四十九日となります。これ以降は100日目の百か日法要となります。 四十九日まで毎週法要を営むのが正式ですが、これは非常に大変なため、近年は葬儀の日に初七日の法要を行い、その後は四十九日法要のみを営むと言うのが増えています。この四十九日をもって白木の位牌から正式な位牌に変えられ、納骨もこの時期に行います。 また年回忌は近年では一部が省略され、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、三十三回忌などが営まれるのが一般的です。(三回忌は死後3年目ではなく2年目で、七回忌は6年目、、、、ですので、間違えぬ様に注意が必要です。) ただ、高齢化により弔い上げと呼ばれる三十三回忌には故人の子供も高齢となり、現実的には営む事が無理であり、七回忌か十三回忌を最後としても良い時代になったと思います。
法事の儀式
法事における儀式部分の法要は、仏前に供物を供え、お寺さんに読経をして頂き、参会者が焼香をし、礼拝すると言うものです。 自宅で法要を行う際には、仏壇を前にして行われますが、そのお宅に元々仏壇がない場合には、四十九日の法要までに購入して開眼法要(浄土真宗では入仏式と呼ぶ)を四十九日の法要と合わせて行うと良いでしょう。 この法要に際して、ロウソクの色は白と赤が使い分けられています。宗派や地方によって異なりますが、一般的には葬式から三回忌までは白ロウソクを使い、七回忌以降の年忌法要時には赤ロウソクが使われます。 法要は亡き人を供養するものですが、法要を通じて私達が仏法に出会うご縁を頂く機会ともなっており、悲しみが癒えた七回忌では仏法に出会う縁を頂けたありがたさやめでたさを示して赤ロウソクを使うのです。
法事のマナー
法事に参列する際には、お供えの品と香典を持参します。この際の香典は関東では白と黒の水引の不祝儀袋、関西では黄色と黒の水引の不祝儀袋を使い、表書きはご仏前とするのが一般的です。香典の額は会食を行う事を考え合わせ、1万円程度が多いようです。 また関西では法事後に参列者がお供えを分けて持ちかえる習慣があり、お供えは参列者の人数分持参が必要と言われますが、分けやすいお供えにすれば、包みを人数分にする必要はありません。 法事に参列する場合の服装は、一周忌までは喪服あるいは略礼服での参列が望ましく、三回忌以降はグレーや濃紺のダークスーツでも問題はありません。 以上が法事、法要についての基礎知識ですが、少子化の中で次第に簡素化が進んでいます。故人を偲び、弔うために仏壇に手を合せる気持ちがあれば、正式な法事を知った上で簡略化する事は許されるでしょう。