お葬式の手順

はじめてのことで葬儀や法要の手順がわからない

近親者がご逝去される悲しい出来事は、一生に何度も訪れるものではありません。亡くなられてから、葬儀、納骨、その後の法事・法要の数々まで、すべての流れや手順を把握している方は少ないものです。日本では90%以上の方が葬儀等を仏式で行っています。仏式による標準的な、亡くなられてから五十回忌法要までの手順、スケジュールを一覧にいたしました。

亡くなられてから100日間のスケジュール(忌日法要:きびほうよう)

命日を含めて7日目にあたる初七日は、故人が三途の川に到着する日です。7日ごとに閻魔大王を筆頭とする十王による裁きを受けます。四十九日目に最終の判定を迎え、六道と呼ばれる6つの世界に極楽浄土を合わせた7つの選択肢のなかから、来世の行き先が決まるといわれます。また、ご遺族が日常生活に戻られる日でもあります。

以下の日程は必ずしもその通りである必要はなく、ご遺族の都合や、葬儀式場や火葬場の空き状況によっては数日ずれ込むこともあります。また、宗派や地域によって手順や内容が異なる場合もあります。忌日法要以外にも、遺族の方のご意向によっては、亡くなられた日付にちなんで毎月供養する月命日(月忌法要:がっきほうよう)があります。

ご逝去当日

-関係者への連絡

家族、親族、友人、知人、学校、会社、地域などへ電話や手紙のほか、メール、SNSなど方法は自由ですが、確実に伝わる方法が望ましいです。故人の名前、通夜や葬儀の日時場所、喪主の名前と連絡先、宗旨宗派等を伝えます。また、家族葬の場合は、葬儀後にハガキなどで訃報連絡をすることも多いようです。

-死亡診断書作成

病院や施設で亡くなられた場合は、担当する医師が作成します。ご自宅で亡くなられた場合は主治医を呼んで作成してもらいます。主治医が決まっていない場合や救急車で搬送した場合、事情によっては事件性を疑われ、警察の事情聴取を受けることがあります。

-エンゼルケア

納棺までの間にご遺体を保全するエンゼルケアや死化粧を行います。看護師や介護士、葬儀社の方に行っていただきます。最近では湯灌(ゆかん)せずに、清拭(せいしき)で済ませる方が多いようです。

-ご遺体安置場所の決定

病院では霊安室を数時間程度しか利用ができないケースがほとんどです。ご自宅に安置されるか、斎場などにお願いするかを決めなければなりません。決められない場合は葬儀社に相談されるとよいでしょう。

-葬儀社の手配・搬送・安置

病院で亡くなられた場合、特定の葬儀社を紹介されることがありますが、お断りいただいても特に問題はありません。遺体搬送から葬儀の準備、各種手続きまで、しっかりサポートしてもらえて費用面でも納得のいく葬儀社に依頼しましょう。悲しいことに、人生において死別は避けられません。万一のときは〇〇葬儀社にお願いする、と決めておくとスムーズです。

-お墓の準備

ご逝去当日にお墓を準備する必要はありませんが、四十九日の納骨に間に合わせる場合は急ぐ必要があります。新規でお墓を建てる場合は四十九日にこだわらず、一周忌や三回忌まで延期する方もいらっしゃいます。

2日目

-葬儀社との打ち合わせ

葬儀の日程、会場、内容、費用等の打ち合わせを行います。菩提寺(ぼだいじ:先祖代々のお墓があるお寺)がある場合は葬儀社の方に伝え、菩提寺にも連絡を入れておきます。

-エンバーミング(ご遺体衛生保全)

事情によりご遺体を長く保管・安置する必要がある場合は、エンバーミング(腐敗防止処置)を施します。

-通夜

もともとは故人を夜通し見守る葬儀前の儀式でしたが、最近では夕方からの2時間程度で済ませる半通夜が主流となりつつあります。また、故人を供養する「通夜振る舞い」という食事やお酒の場が用意されます。一方で、通夜を行わない一日葬や、通夜だけでなく葬儀や告別式も行わない直葬という方式もあります。葬儀の手順や方式は、地域性が反映されることが多いようです。

3日目

-葬儀
一般葬:最も馴染み深い華やかな葬儀です。一般会葬者もお呼びします。
社 葬:故人の勤めていた会社が施主となって、取引関係者等も招き、大規模に行う葬儀です。
家族葬:近親者と関係性の深い知人友人のみで執り行う葬儀です。一般会葬者は参列しません。
一日葬:通夜は行わず、告別式や火葬を一日で執り行います。身内のみの小規模な葬儀です。
自宅葬:従来はご自宅で葬儀を行うことが一般的でした。スペースに余裕があれば可能です。
直 葬:通夜や告別式を行わず、火葬のみ行うため、費用負担が軽減されます。
自然葬:ご遺骨を海や山など自然に還す方法です。ご遺骨の一部を散骨される方が多いです。
宇宙葬:遺骨をカプセルに格納して宇宙へ飛ばします。ロケットやバルーンなど方法は様々です。
生前葬:亡くなる前にご自身を含め執り行う葬儀です。事前にしっかりお別れの言葉を遺せます。
-告別式

遺族のみならず、故人と社会とのお別れを表すものであり、原則として誰でも参列できる儀式です。葬儀のあと、出棺の前に執り行われることが多いです。明治時代に登場し、大正時代に普及したといわれます。

-火葬

出棺後、火葬場へ移動し、ご遺体と最後のお別れをします。およそ1~2時間ほどで骨上げ(拾骨)となります。なお、通常は初七日に行う精進落としを、火葬のあとすぐに執り行うことも多いです(繰り上げ初七日法要)。

-遺骨・位牌・遺影の持ち帰り

遺灰を骨壺に収め、骨箱と埋葬許可証を受け取ります。位牌や遺影とともに、ご自宅などへ持ち帰ります。

-事務引継等

葬儀等の世話役となっていただいた方から、芳名帳、香典帳、香典、供花・供物帳、弔辞・弔電、各種支出の明細・領収証などを受取、葬儀費用の支払いも済ませます。最近はカード払いができる葬儀社も増えています。

-挨拶回り

葬儀を手伝っていただいた方、供花・供物や弔電をいただいた方々へ御礼に伺います。感謝の品を持参する場合もあります。

7日目

-初七日

故人が極楽浄土へ旅立つために、七日ごと七度に及ぶ裁きを受けるとされ、最初の裁きを受ける日を初七日(しょなのか)といい、故人が三途の川のほとりに到着する日です。ご遺族の祈りが追善供養となり、故人を極楽浄土へと導きます。最初に裁きは不動明王が行うといわれます。

-精進落とし

本来は「お斎(おとき)」といって、四十九日に親族やお世話になった方々へ食事を振る舞うものです。昔は四十九日まで精進料理で過ごし、忌明けとなって通常の食事に戻すことから、精進落とし、あるいは精進上げ、と呼ばれます。

30日目まで

-公的手続・各種支給手続等

年金、健康保険、葬祭等扶助(健保)、民間保険、住民票、免許証、退職等の手続きを行います。

49日目まで(忌中)

-二七日(釈迦如来による裁き)
-三七日(文殊菩薩による裁き)
-四七日(普賢菩薩による裁き)
-五七日(地蔵菩薩=閻魔大王による裁き)
-六七日(弥勒菩薩による裁き)
-仏壇・本位牌の準備

四十九日をもって白木の位牌から本位牌へ交換し、必要に応じて仏壇を用意します。いずれも僧侶にお願いして開眼供養をします

49日目(忌明け)

-お礼状

葬儀等に参列いただいた方々へ直接のご挨拶ができない場合は、お礼状を送ります。郵送でお香典をいただいた方へは、葬儀で使用した返礼品や会葬礼状などをお送りし、供物・供花や弔電を頂いた方にもお礼状を送ります。

-香典返し

お香典の半返しが一般的です。四十九日法要が無事に終わったことを記した奉書を同封してお届けします。

-四十九日(七七日:薬師如来による裁き)

宗派によっては異なりますが、七度にわたる法要で故人の追善供養を行い、いよいよこの日、故人が極楽浄土へと旅立つ日とされます。遺族が日常生活に戻る「忌明け(きあけ)」の日でもあります。

-納骨

通常、四十九日に納骨を行います。いつまでに納骨しなければならないという法的な定めはないので、お墓が用意できていない場合などは納骨を延期しても差し支えありません。ただし、墓地埋葬法により、墓地以外に埋葬することはできません。故人があの世へ旅立つ四十九日に納骨したい場合は、早めにお墓の準備をしておきましょう。

-お斎(おとき)

四十九日法要のあとで、僧侶や列席者に振る舞う食事をいいます。返礼品も用意します。最近では精進料理にこだわらず比較的自由な形式で食事が供されます。

-遺品整理・形見分け

遺品整理に期限はありませんが、四十九日や一周忌を目処にされる方が多いようです。一方、形見分けは四十九日の忌明けに行うのが一般的です。また、故人よりも目上の方には形見分けをしないというマナーがありますのでご注意ください。

100日目

-百箇日(卒哭忌)

故人が亡くなられてから100日目に行う法要で、この日を境に遺族は泣くことをやめ、前を向いて生きるようにしましょう、との意味が込められています。通常、遺族や近親者のみで執り行われます。故人が観世音菩薩からの教えを受ける機会といわれます。

10ヵ月以内

-相続税の申告と納付

故人(被相続人)が亡くなられた翌日から10ヵ月以内までに相続税の申告と納付をしなければなりません。銀行や証券会社、保険会社などでの手続きのほか、遺言書の確認、遺産分割協議など煩雑な手続きがありますので、早めに税務署や税理士に相談するとよいでしょう。

亡くなられてから49年間のスケジュール(年忌法要:ねんきほうよう)

死後100日目までに8回、32年目までに5回、合計で13回、十三仏の教えを授かる機会があります。忌日法要や年忌法要と呼ばれるものです。釈迦如来や観世音菩薩、不動明王など、耳にしたことのある仏様が、故人に仏の道を諭す儀式です。こうした法要に、親族での食事会をあわせた法事を執り行うなど、故人への感謝を胸に、現世に生きる人々が寄り添い集まる大切な機会でもあります。

周忌(しゅうき)はその年数が経過したことを表し、回忌(かいき)は何年目に入るかを表しますので、たとえば三回忌は3年目を迎える日、つまりご逝去から2年が経過した日に行われます。百箇日までと同様、故人が仏の教えを受ける機会であり、特に重要な年忌法要は以下の通りです。

一周忌:勢至菩薩
三回忌:阿弥陀如来
七回忌:阿閃如来
十三回忌:大日如来
三十三回忌:虚空蔵菩薩

はじめて迎えるお盆

-新盆
故人が亡くなり四十九日を終えて以降、はじめて迎えるお盆のことを新盆(にいぼん)といいます。8月15日前後が一般的ですが、地方によって時期に差があり、7月~9月に法要が執り行われます。お盆には故人の魂が帰ってきます。あの世とこの世を行き来するための儀式が、地域や宗派によってさまざま用意されています。

1年目

-一周忌
ご逝去された日を忌日(きにち)といい、亡くなられた日を1回忌として数えます。一周忌は「回忌」とは異なり、亡くなられてからちょうど1年経ったことを示します。四十九日までと同様、故人の功徳を積み増す追善供養の意味を持ちますので大切な法要となります。

2年目

-三回忌
亡くなられてちょうど2年を迎える三回忌は、親族以外の方々も招いて行われることが多いです。三十三回忌までは追善供養となりますが、一周忌、三回忌はより大きな意味をもつといわれます。また、以降の年忌は日本独特のものですが、三回忌まではインドや中国における習わしでもあります。

6年目

-七回忌
通常、遺族と親族のみで執り行われます。一般的に、法要の規模も縮小されます。

12年目

-十三回忌
十二支が一巡することにちなんだ法要とされ、通常、遺族のみで執り行われます。

16年目

-十七回忌
通常、遺族のみで執り行われますが、法要を省略する場合もあります。

32年目まで

-二十三回忌
-二十五回忌
-二十七回忌
十二支が二巡する二十五回忌のみ行う場合や、すべて省略されることも多い年忌法要です。

32年目

-三十三回忌
どんな罪を犯した者でも亡くなってから33年目には極楽浄土へ行ける、というのが仏教の考え方です。よって三十三回忌を最後の法要とすることが多く、これを「弔い上げ」「問切り」などと称して、故人の位牌は先祖代々の位牌に合祀されます。

33年目以降
-三十七回忌
-四十三回忌
-四十七回忌
-五十回忌
三十三回忌をもって弔い上げとしない場合は、五十回忌まで法要を行うことが一般的です。五十回忌からは遠忌(おんき)と呼ばれ、宗派によっては百回忌、百五十回忌まで執り行う場合もあります。

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