終活コラム
vol.142
彼岸花は不吉な花?その由来や特徴とは?
長くて真っすぐな茎、鳥居のような朱色の花が特徴の彼岸花。
お彼岸の頃に咲き乱れ、日本の夏の終わりの風景には欠かせない花ですが、「不吉な花」と考えられることもあるようです。身近にあるのに意外と知らない彼岸花の生態や、様々な異名、そしてその花がどのようなイメージを持たれているか等、分かり易くご説明しましょう。
彼岸花の生態
彼岸花は多年生の球根植物で、花は6枚の花弁から成っています。田んぼや道端に生えることが多く、単体で生えるよりは、同じ場所に群生していることが多い植物です。
旬は9月中旬で、朱色のような赤い花が咲きますが、たまに白い花をつけるものもあります。花の形状としては、30センチ程の長い茎の先に花をつけ、茎には葉や枝が無い状態になっています。茎の先に「苞」と呼ばれるつぼみを包む葉のようなものが出来、その苞が破れると5つから7つの花を咲かせます。花が落ちてからは、冬には葉や茎が残っていることもありますが、春には枯れ、夏から秋にかけてまた生え始めます。
欧米では園芸用の品種の開発も進んでおり、赤や白の他、黄色い花をつける品種も開発されています。
「彼岸花=不吉」説
- 1名前の由来
- お彼岸の頃である、9月に開花するため、その名前がつけられたといわれていますが、別の説もあります。一説では、彼岸花を食べた後はその毒性から「彼岸(死)しかない」といわれるため、彼岸花と名付けられたともいわれており、不吉な花といわれることもあります。そのせいか、彼岸花の他にも「死人花(しにびとばな)」や「幽霊花(ゆうれいばな)」、「地獄花(じごくばな)」、「捨子花(すてごばな)」などといった不吉な印象を与える異名もつけられています。
- 2本当に「不吉な花」?
- このように、彼岸花は日本では「死を連想させる不吉な花」として扱われることもあるようですが、同時に、全く反対のイメージも持たれているようです。彼岸花には真っ赤な花が咲くため、“天上の花”というおめでたい意味を持つ「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」という異名で呼ばれることもあります。
また、彼岸花の特性として、花と葉が同時にはつかないことから、“花は葉を思い、葉は花を思う」”という意味で「相思花」と呼ばれることもあります(韓国で彼岸花と同じ特性を持つ夏水仙が「相思華」と呼ばれていることから由来していると考えられています)。
■なぜお寺やお墓に群生するのか?
彼岸花は有毒植物で、体内に入ると下痢や吐き気、神経の麻痺を起こす可能性もあります。そんな毒性の強い植物が田んぼやお寺、お墓等に群生しているのには理由があります。
それは、その毒性から、ネズミやモグラ等の害獣防止にも利用出来るため、人が故意にその場所に彼岸花を植えたからと言われています。彼岸花を害獣達が嫌うことを、昔の日本人もよく知っていたようです。特に、お墓に彼岸花があると、動物達によって遺体が掘り起こされることを防げるため、重宝していたようです。
いかがでしたか?古くから日本の秋を彩る花として親しまれてきた彼岸花ですが、私たちの先祖はその効能をうまく利用していたようです。不吉なイメージだけでなく、おめでたい花として重宝される一面もある彼岸花を、今年のお彼岸に探しに行ってみるのも良いかもしれません。