終活コラム

vol.154

知っておきたい「任意後見制度」

任意後見制度とは?

終活を死ぬまでの生活を意義のあるものにするための活動と仮定すると、自分の健康や医療介護についての備えはとても重要ではないでしょうか。 自分が認知症になるのか、脳卒中で倒れることになるのか、それは誰にも分りません。人は誰でも病気にかかったり、病気が治っても後遺症を負ってしまう可能性があります。 しかし、どのような状況に置かれたとしても、最後まで自分らしく有意義に生きることが出来たならそれは素晴らしい事だとは思いませんか?自分で自分の事が決められなくなったとしても、最後まで自分らしくありたい。その思いを叶える一つの備えが「任意後見制度」なのです。 この制度は心身ともに元気なうちに、判断する力が衰える、もしくは適切な判断できなくなってしまうといった状況に陥った時に備えることで、最後まで自分らしく生きるサポートをしてくれる制度です。要するに、信頼できる人に、前もって自分に代わって自分らしく生きられるように意思決定してくれる人を選べる制度です。具体的には「任意後見契約」を信頼できる人と結ぶことで人生の最後に向けて備えることになります。

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任意後見契約の手順について

任意後見契約を結ぶためには、まずは「任意後見人」を選ぶ必要があります。 「任意後見人」の資格には特に法律上の制限はありませんので、自分が信頼できる人を選ぶことが出来ます。一般的には、親族や知人、司法書士や弁護士などの法律実務家、社会福祉士等の福祉の専門家が後見人になることが多いようです。「任意後見人」を選んだら、「任意後見契約」を締結します。 締結するにあたって、まずは具体的な契約内容を確認します。契約締結後、後見人は依頼人の判断能力が低下した際に、契約された内容に基づいて生活の支援や療養看護、財産の管理などの手続きを行います。 契約はこれらを記載した公正証書の形にします。公正証書は、公証役場の公証人が作成し法務局に登記します。この理由は、公証人が本人の判断能力と真意を確認することにより、無効な任意後見契約の出現を防止するためです。この際、公証役場では本人の印鑑登録証明書や戸籍謄本、住民票、任意後見受任者の印鑑登録証明書と住民票が必要になり、費用は契約類型によって異なりますが3~4万円程度となります。

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任意後見人が必要になったら

自分の判断能力が不十分となった際に、契約の効力を発生させます。契約の効力を発生させるためには、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てることが必要になります。 申し立ては自分以外にも、任意後見受任者も行うことが可能です。契約の効力が発生すると、契約内容に基づいて後見人は事務を行います。その内容は、財産目録の作成や財産調査などの財産管理に関わる事務、被後見人の意思確認、心身の状態や生活状況の確認など身上監護に関わる事務、任意後見監督人への事務報告などとなります。任意後見監督人の役割は、簡単に言うと任意後見人の不正を防止するための監視です。 任意後見監督人は、任意後見人が契約通りの内容を遂行しているかどうか監督して、定期的に家庭裁判所に報告する役割を担います。このようにして最後まで自分らしく生きられるようにサポートしてくれるのが「任意後見制度」です。ちなみに、最後まで自分らしく生きるために前もって契約する制度ですが、途中で契約内容を変更したり、契約を解除することももちろん可能です。この任意後見制度と法定後見との一番の違いは、後見業務の内容を自分の意志であらかじめ決めることが出来る点です。後見する側の価値観ではなく、後見される側の意向や希望に重点を置いています。 この違いによって、人生の最後まで自分の意志で有意義に生きることが出来るのではないでしょうか。本人の意思を重視すべきという考え方は、世界共通のものとなっており、今後ますます注目される制度であると言えます。

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