終活コラム
vol.16
お墓って必要?
「お墓ってなんで建てるのですか?」 誰かに聞かれたら、あなたは何て答えますか? 私は・・上手く答えられる自信はないです・・
お墓はいつからあるか知っていますか? お墓の歴史は古く縄文時代から、人が亡くなると生命の誕生とされる大地へ死者を還すとして埋葬する習慣がありました。 仏教が伝来する以前の日本では、人の死は「けがれ」たものとし、遺体はお墓にではなく人里離れた場所に土葬されていたそうです。
時が過ぎ古墳時代になると、権力者の象徴として古墳が造られるようになりましたが、庶民はまだお墓を持てる時代ではありませんでした。そして鎌倉~江戸時代、仏教が広く普及し、死者を尊ぶ価値観が浸透し庶民にも「寺院にお墓を埋葬する」文化が定着するようになったそうです。といっても一部の富裕層の人がお墓を建てられた話で、一般の人にはまだ縁遠い話しだったようです。今のように当たり前に誰でもお墓を自由に建てられるようになったのは、昭和30年代頃だそうで・・まだ100年も経っていないようですね・・。
また墓石の形にも、ちゃんと意味があるみたいですよ。 土に埋めた死体の上に目印として河原などで拾った石を置いたものが、今の墓石の形の起源ですが、自然の石では探しづらいということで、現在使用されている人工石が用いられるようになったようです。 後に魂が迷わずに帰って来られるようにと、人工石の上に軸石(じくいし)を重ねたそうです。 なので、軸石は「魂の宿る場所」という意味もありますが、「帰ってくるための道しるべ」という意味も持っているのです。 ちゃんと意味があったんですね・・。
・・皆さんは、ちゃんとお子様に意味を教えていますか? 現在、お墓やお墓参りの必要性に疑問をもつ若い人が多いようです。 またお墓参りの経験がない人や自分のご先祖様のお墓がどこにあるか知らない人も増えているようです。
正直私も両親から、こういう話しを聞いたことがありません・・。 幼い頃に両親とご先祖様のお墓参りに行った経験はありますが、正直、会ったこともないので、当時は何かを想うこともないですし、お墓やお墓参りの必要性がよく分からなかったので早く帰りたい気持ちしかありませんでした。 でも何度か行く内に、ご先祖様はどんな人だったのか、この人がいなかったら、私も兄弟も両親もこの世にいないのかと思うようになり、自然とご先祖様に手を合わせるようになっていました。 不思議ですね・・。
お墓参りに行ったことのない人が、お墓・お墓参りの大切さに疑問を持つのは当然のことだと思います。 供養の場を大切な家族と共有することで恩愛の気持ちが育まれ、自然とご先祖様に手を合わせたいという気持ちになるのかなと思います。 またお墓参りは、他者を敬う気持ちを芽生えさせ、生とは尊いものなのだと教えてくれる時間なのかなと思います。
同じ屋根の下で一緒に暮らしているのに、家族間のコミュニケーションが不足しているなど、人と人の繋がりが寂しくなっている現代だからこそ、まず手を合わせて供養をする時間をご家庭で共有することから始めてみるのも良いかもしれないですね。
また仏教では「死を観つめることが、本当の幸福への第一歩だ」と教えがあるようです。 現代は多忙で時間に追われている人が大半ですよね・・。 そんな時代だからこそ、自分を見つめる時間をとるといった意味でも、一年に一度はお墓の前で手を合わせることは、自分を見つめ、今、生きている意味について考える大切な時間なのかなと思います。