終活コラム

vol.39

従来のお墓の終焉

お墓の現状

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今、私はお墓に携わる仕事をしております。 以前は不動産や太陽光に関わる仕事をやっておりました。 長く携わってきましたので、不動産であれば不動産の現状が、太陽光であれば太陽光の現状を知りつくしてきたつもりです。

例えば今、私が投資用のマンションを購入したとしても、太陽光を利用したソーラーパネルを家の屋根に付けたとしても、よほどのことがない限り失敗しない選び方が出来るかと思います。 それはひとえに、商品を提供する側にいたからこそ分かるものです。 不動産であれば購入者からの声、管理者からの声、現場仕事をする人からの声、その土地の周辺事情など、ほぼ全てを把握することが可能なので、そのような情報を使い、今までの経験なども踏まえて判断することが出来ます。 そのような中で現在、お墓に携わる仕事をしていますが「日本のお墓の現状が、だいぶ変わってきているな」と日々感じております。

お墓の無縁化

私が「お墓」の仕事をするようになり、一番に驚いたことがあります。 それは「あまりにも無縁になっているお墓が多い!」ということです。

パッと見て非常にお墓の数が多いお寺の墓地でも、そのお寺の住職様と話をすると、実際はかなりの数のお墓が無縁になっていると聞きます。

最近は「墓じまい」といって、親族の方がお墓が無縁になるので自主的に撤去するといったことがあります。 ただ現実問題、お墓には多額の撤去費用がかかるので、お寺と連絡を取らずそのままお墓を放置してしまうケースが後を絶たないそうです。 多額の撤去費用がかかってしまうので、お寺側もそのままにせざるを得ない状況なのであります。

お墓に対しての価値観の変化

さらにお墓に対しての価値観も現代では変わってきているなと痛感しております。 私が子供の頃は、老若男女問わず墓参りは「国民的行事」として、きちんと定着しておりました。 「お彼岸」「お盆」「正月」必ずこういった行事には、きちんとお墓参りをしていましたし、それ以外でも結婚する時や子供が生まれた時などにも報告でお墓に足を運ぶ人も多かったと思います。

ただ現在私も40代になりまして、考えてみるとめっきり実家に行きお墓参りに行く機会も少なくなってきました。 というのも、仕事場が東京にあり、実家にある山形との距離が遠く、なかなかお墓まで足を運べないのと、結婚し子供も生まれてからは、家族旅行などでまとまった休みを使うことも多くなり、家族で行くお墓参りは本当に年に1〜2回といったところでしょうか。

このように私のような「都市部で仕事をしていてお墓参りに行く回数が減った人」は非常に多くなってきています。 さらに私は今、奥さんと子供の3人家族として都内で暮らすいわゆる「核家族」の世帯なのですが、そうした「核家族として暮らす家庭の増加」も現代のお墓への価値観の変化の原因の一つです。 家に祖父、祖母がおらずに、年に1〜2回程度でしかお墓参りに行くことのできない私の子供と、 「祖父、祖母と一緒に暮らし、お墓も身近にある家」で育った子供とでは「お墓」に対する意識も変わってきます。

昔は、「祖父・祖母と一緒に暮らしていく家庭」の方が核家族世帯より圧倒的に多かったものですから、お墓を無縁にするなんて考えられなかったと思います。 こうした背景があり、現在無縁化していくお墓が増加していっております。 現在、お墓の購入費用はお墓の意識が低下している中でも、永代使用料(お墓の土地の購入価格)と墓石代の全国平均は196万円(永代使用料平均77万、墓石代平均135万)と言われております。 私の父と母もお墓を山形にある実家近くの墓地に購入しましたが、そのくらいの金額を払っております。 金融機関では、墓石ローンといったローンもあるのですが、現在の若者が将来お墓を考える時になった際に、この金額でお墓を購入する人が果たしてどのくらいいるでしょうか?

今の時代にあったお墓とは

そう考えてみると、これからの時代間違えなくお墓の形は変わっていきます。 40代である私でさえ、山形にある父と母のお墓をどう守っていくか不安です。

そうなると、従来型の「代々継いでいくお墓(家墓)」の形式が主体となった時代はもう終わりを迎えたといってもいいでしょう。 不動産でも、今は一軒家よりもマンションやアパートなどの方が人気ですし、お墓もそうした「時代の転換期」がきている最中と言えます 本来ですと、お墓参りは身近なものであって欲しいと私は思っているのですが、現状それとは程遠い状態です。 今の人達のニーズも取り入れながら、今までのような身近にお墓があって好きな時にお墓参りに行けるようなスタイルにしていけたらなと思っております。

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