終活コラム
vol.4
失敗しない、お墓選び
私は最近、お客様から「どんなお墓が良いのか?」「場所は何処が良いのか?」「金額はどれ位が良いのか?」など、お墓選びに関して様々なご相談を頂く機会が増えております。
お墓選びは各家族というより各個人ごとにお墓に関する考え方、思い入れ、目的、など様々なので、ご相談にお答えする事は、私にとって仕事なのですが同時に自分のことでもありますので、私の例をお話ししながら、お墓選びについてお応えしております。
私の例として必ずお話ししていることは、従来の墓石販売と違い近年、宗教離れと世間では社会問題になっている時代に、私が特に重要と感じている、「残された方々の想い」に関することです。
従来のように、故人の「気持ち」や「考え」に重きを置くお墓選びも、確かに大切なことだと思いますが、本当に大切なのは残された方々がどのように故人と接することができるか?ということだと思います。
話は変りますが、私も地方から上京してきた一人です。
今現在、私の母親は郷里で1人暮らしをしております。まもなく80歳を間近に迎え、身体も決して元気とは云えない状況なので、数年前から、上京して私の家族と同居もしくは、近くに住む事を勧めているものの、母は郷里を離れがたく、首を縦には振ってもらえません。
やはり、長年慣れ親しんだ場所から離れ、生活するのが体力的にも精神的にも、負担な様です。私としては母親の年齢的に「親の死」という現実を、受ける日はそう遠くないと思っています。
現在、年に1、2回の里帰りもままならないので、顔を会わせて話しをする機会もなかなかできず、電話で身体のことなど近況を確認する事が多くなっています。
現実問題として、そんな母が他界し納骨先が郷里の先祖代々のお墓になった場合、お墓詣りに行ける回数は、経済的、時間的な事もあり、母の生前以下に減ってしまうと思ってます。
そんな話を、先日里帰りした際に母と葬儀やお墓の事も含め色々話しをしました。特にお墓の事は母親からは希望や考えもなく、むしろ残された家族の希望や考えを重要視したいと言われ、遺骨は私が暮らしている東京の近くのお寺にしたいと話すと、「その方が凄く嬉しい」と言ってくれました。
母としては、「生きている間は年に1、2回しか会うことが出来ないが、あなたが今住んでいる近くなら、お墓詣りに来てもらえるし、あなた達家族の近くでずーっと見守る事が出来る!」「あなた達も寂しくないでしょう」と言いました。
この事で私自身が感じた事は、「生と死」確かに、母親が生きているのと死後では、物理的に逆のものと考えていました。 生きているから「会う、話す」。死後は「会えない、話せない」なので、母親に上京を促していました。
しかしこれは私の勝手な都合であって、母からすれば残りの人生を人に迷惑をかけずに生きる。という事と、自分自身の先祖のお墓を守るという責任感の様に感じました。
自分の死後は残された各家族の時間、経済状況や考えに応じた、お墓作りをする事が、先祖や故人達も本当に喜んでいてくれるのだと思います。
私なりにいいお墓選びとは、宗派、などに関わりの無い方が近年増えて来ていますが、一番大切な事は実際に自分の人生に関わってきた親族達に何時でも、手を合わせたい思えるお墓選びが大切だと思います。
要は、新たにお墓づくりをされる方が時間的、経済的、精神的に負担にならない事が絶対に大切です。
本日の担当は寅吉でした。