終活コラム

vol.115

新生活運動の葬儀の風習

葬儀や通夜でお供えする不祝儀袋の表書きとしては、仏式の場合には御霊前や御香典や御香料と言った言葉を薄墨色で書くのが一般的です。(浄土真宗では御霊前は用いませんので、御香典が無難かもしれません) 普通はこのような表書きのみですが、群馬県や北関東の一部の地域では、市販されている御霊前(御香典)袋に「新生活運動の趣旨に添ってお返しを辞退いたします」と言う文言が添えて印刷されたものがあります。 これはどんな意味で、そもそも新生活運動とは何か、そして新生活運動での葬儀の特徴などについて、考えてみたいと思います。

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新生活運動とは

第2次世界大戦の終戦直後の昭和20年代~30年代にかけては、国民生活が経済的に疲弊していました。そんな中で、できるだけ付き合いを中心とした生活習慣を簡素化し、負担を軽減しようと言う住民運動が各地で広まりました。これが「新生活運動」です。 戦後復興と共に国民の生活が安定化すると、次第にこの運動は廃れて行き、現在では群馬県などの一部地域でのみ、この時の風習が続いています。

例えば、群馬県の高崎市の場合には、以下の様な事が新生活運動として推奨されてきました。葬儀の場合には香典は1000円程度の小額とし、その代りに香典返しや会葬御礼の品は無くし、礼状のみにしようと言うものです。 また、結婚披露宴の場合には会費制で行う事や、病気見舞いも1000円とし快気祝いとしてお返しはしないように、さらには出産祝い、新築祝いなども1000円程度とする事が推奨されてきました。 祝儀も不祝儀も金額を少なくし、お返しに当たるものを省略するという簡素化を中心とした付き合いのスタイルを推奨する運動が、「新生活運動」の具体的な内容でした。

群馬県などで残る通夜・葬儀での香典受付の実際

通夜や葬儀の会場を訪れると、その受付には「会社関係」と「一般」が区分して設けられていますが、「新生活運動」の習慣が残っている地域では、その他に「新生活」と明示された受付が設けられています。 「新生活運動」の趣旨に沿って、香典返しが不要な金額を包む場合には、御霊前(御香典)袋に「新生活運動の趣旨に添ってお返しを辞退いたします」と言う文言の記載された香典袋に入れて「新生活」の受付で渡すと言う習慣となっています。

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実際の「新生活運動」に沿った香典の額と、それを利用するケース

実際の「新生活運動」の主旨に沿った香典の額としては、1000円が一般的で、多くても2000円が相場の様です。 「会社関係」や「一般」で受け付けられる香典は、お返しを辞退しない5000円や1万円と言った額でしょうし、「新生活」では香典返しを辞退する額と言う事になりますが、この使い分けはどのようにされているのでしょうか? 一般的には、「新生活」を利用する場合には、故人や遺族との付き合いがそれほど緊密でなく、どちらかと言うと形式的に通夜のみに参列する方が利用するケースが多いようです。

以上の様に、「新生活運動」の主旨に沿って、形式的な参列時には香典返しや会葬御礼の品を辞退すると言う習慣が群馬県を中心に残っているのです。 しかし、香典返しの必要性の有無の両方の香典があり、香典返しが不要であっても少額の香典をする習慣なら、最近関西で増えている故人の遺志により香典の儀はお断りしますと受けない方が、合理的でスッキリすると思うのですが、いかがでしょうか

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