終活コラム
vol.117
お墓の代参と清掃代行サービス
近年、少子高齢化の中で地方の過疎化は一段と進み、遠方の故郷にあるお墓の掃除やお参りができず、気になっているものの、墓終をして都会の近くに遺骨を移す決断も中々できず、困っている方も増えています。
こうした方々が最近利用する事が増えているお墓の代参と清掃サービスについて少し考えてみたいと思います。それと合わせて終活として、思いきって墓終を行う事にも少し触れたいと思います。
お墓参りができない気がかり
お墓参りは、春と秋のお彼岸やお盆に行うのが一般的です。また故郷が遠くても、故郷に親族が暮らしておられる場合には、お正月やお盆に帰省して、墓参りをされる方も多いでしょう。しかし故郷には親族が暮らしておらず、お墓のみが残っていると言ったケースも少子化と過疎化の中で非常に増えています。
こうした状況に置かれた方の中には、気になっていても、仕事や日常生活が多忙でお墓参りが中々できない方や、また高齢化で遠方の故郷に出かける事が物理的に難しくなっている方も増えています。
管理の行き届いた墓地は別にして、故郷の町村のお墓では、お墓の周りに草が生えてしまっているだろうと、お彼岸やお盆の時期になると、心穏やかではいられないのが、お墓参りに行けない方の心情でしょう。
お墓の代参と清掃代行サービス
お墓参りに行きたくても行けず、故郷のお墓が気になる方が最近利用する事が増えているサービスに、お墓の代参と清掃代行サービスがあります。これは依頼者に代わってお墓参りと、お墓の周りの草むしりや墓石の苔や汚れを落として清掃してくれるサービスです。
こうしたサービスには様々な種類がありますが、関西や関東と言った一定のエリア内なら交通費は無料で、代参に合わせて行う清掃作業の範囲に応じて料金を設定している業者さんが多いようです。標準で15,000~20,000円程度の料金の業者さんが多いようです。一定のエリア外でも交通費の実費をプラスすれば代行してくれる業者もあります。また、多くの業者さんは単発ではなく、定期的な代行を依頼すれば、料金を割引く設定をしています。
清掃・代参前のお墓の状態と、清掃して線香やお花を手向けた後の状態を、写真撮影して依頼者に送付する事で、きっちりと仕事をした事を証明すると共に、依頼者が綺麗になったお墓の状態を見て安心できる様にしているのが一般的です。
故郷のお墓を何とか維持しようと、こうした代参と清掃サービスを利用する方が増えているのです。
しかし自分の代では何とかお墓を守れても、この大変さを自分の子供達に引き継ぐのも気が引けるものです。やはり、高齢になれば終活の1つとして、墓終をしてお参りが容易な所に遺骨を移す事を再考する事も必要でしょう。
故郷のお墓の墓終をして「のうこつぼ・納骨墓」に遺骨を移す選択
都会に近い納骨堂や合祀墓に遺骨を移せば便利な事は分かっていても、墓終が大変な事と、納骨堂はお墓とは違い過ぎると言う点や、合祀はやはり嫌だと言う気持ちで、お参りが大変な故郷のお墓を必死に維持しておられる方も多いのです。 こうした方に、納骨堂とお墓を融合させた次世代型のお墓と言うべき「のうこつぼ・納骨墓」を紹介したいと思います。この「のうこつぼ・納骨墓」は、石造りで数十個ほどの個別の納骨スペースを設けたもので、全体はお墓の感じに近いものです。個別の納骨スペースの扉には、家紋や家名を刻む事が出来、この点でも従来のお墓に近く、納骨堂とお墓の良さを融合させたもので、大都市のお寺で導入が増えています。 故郷のお墓を守る気持も大切ですが、子供達がその大変さを引き継ぐ事を考え、こうした新しい選択肢もある事を知って、終活として再考される事もお勧めです。