終活コラム
vol.72
エンディングノートについて
終活という言葉は、最近では一般的に浸透してきた言葉です。
終活にも、色々ありますが、その中の1つにエンディングノートと言うものがあります。人生の最期をどう迎えたいか、また葬儀など、自分が他界してしまった後、自分のこと、家族のことなど、身辺整理など、どうしてほしいかなどの願いを書くノートです。
病気などを患ってしまうと、自分の最期をどう迎えたいかなど気持ちを言えず、その決定を家族などがしないといけない場合があります。また、葬儀など家族に迷惑をかけないために書き記すものが、エンディングノートなのです。簡単に購入出来て、気軽に書くことが出来るので、人気になり、知名度も上げてきました。
エンディングノートは法的に認められていない?
エンディングノートは、自分の死後のことについて記入しても大丈夫です。
しかし、ここで、間違ってはいけないことがあります。それは、このエンディングノートは遺言書とは違うということです。遺言書は法的に認められている文章でありますが、エンディングノートは法的には認められていないので、故人の遺志が書き記されただけのノートでしかならないのです。
遺言書とエンディングノート、2つ遺している場合は、遺言書が法的拘束力がありますので、エンディングノートで財産分与を記されていたとしても、あくまでそれが故人の遺志でしかならないのです。
例えば、愛人の子供に遺産を分与することがエンディングノートに書かれていても、遺言書に書かれていない場合は、財産分与されない場合が多いです。いくら、本人が申し出ても、故人の家族などが財産分与を認めなかった場合は、何も残してもらないことがあるのです。
また、自分の最期は家で迎えたいと思い、それを書き記していても、家族の事情で、在宅看護が出来ない場合が出てきたとします。しかし、それもあくまで自分の意志で、家族が無理だと思ったら、自分の意志は通じなくなり、入院などをして最期を迎えなくてはいけないのです。エンディングノートに書くことは、あくまでも、願望だというくらいに書いておくのがいいでしょう。もし、そこから元気になって、自分の意志とは違うことをしたとしても、家族を責めることが出来ません。また、病状によっても、エンディングノートに書かれているものとは違う治療方針や入院などになっても、誰も責めることが出来ません。
エンディングノートは、簡単に書き記すことが出来る遺言書だと思われて、自分の最期、また死後のことなどを書き記してしまうと、これまたトラブルになるので、十分な注意が必要になります。
終活という言葉、エンディングノートという言葉が一般的に浸透していたからこそ、注意が必要になってくるのです。
最後にエンディングノートをうまく使った終活について
簡単に書くことが出来るから、エンディングノートを書く人が増えてきましたが、簡単に書くことが出来るからこそ、法的な威力は認められないのです。遺言書と併用して書くと、トラブルが出てきてしまう場合も多いです。エンディングノートは、あくまで、自分の意思を伝えるものであり、それが必ずしも通るわけではないということをふまえて、書くことが重要になってきます。人生を振り返る時に、自分の人生とは一体何だったのか、そんな人生を歩んできた自分はどう幕を下ろすのかと、自分を振り返るための時間だと思って書くのがベストです。エンディングノートを書いたからと言って、遺言書を書かないなどはしない方がいいでしょう。遺言書は、法的に認められた文章なので、自分が亡くなった後、大事な人たちが困らないようにするために書いておくのがいいでしょう。 終活とは、自分のことを、ゆっくりと見つめ直す時間です。書き記すことで、自分のことも、周囲の人たちのことも、ゆっくり考えることが出来るのです。自分の最期は自分で決めていい時代になっているのですから、それらを有効に利用するのがおススメです。