終活コラム
vol.79
お墓について
核家族化が進む現代社会において、終活とお墓の関係は切っても切れない問題です。このコラムでは、今あるお墓を、今後、永久的に先祖代々継承できないご家族へ終活のコツをお伝えします。Aさんのお家の例を参考にご紹介します。
Aさんは78才男性です。家族は、Aさん、Aさんの妻、Aさんの娘の3人家族です。Aさんは長男で、今、他界したAさんの両親はじめ先祖代々の墓を守っています。お盆やお彼岸、命日にはしっかりとお墓参りし、法要の際にはお寺の和尚さんにお経を読んでもらうなど、大切にお墓を守ってきました。
Aさんの娘は嫁に行きました。そのため、Aさんには、今守っている先祖代々のお墓を守る子孫はいません。Aさんの奥さんはAさんより7つ年上で、85才です。Aさんは、今後自分たち夫婦が墓を守れなくなることを見越して、ある決断をしました。それは、自分たち夫婦が他界した後に、嫁いだ娘に迷惑をかけないよう、墓の終活をすることでした。Aさんは現在の自分たちの状況をお寺の住職に相談しました。
今、Aさんのような家庭は大変多く、将来、墓を管理する人が誰もいない家庭は、墓をなくし、永代供養するとのことでした。永代供養することはAさんの妻も、娘も賛成しました。中途半端にお墓を残して無理して供養できなくなるより、ご先祖様にも礼儀を尽くせると考えました。
Aさんは、今自分が元気なうちに、永代供養することにしました。まず、お仏壇のしんぬきをしました。お寺の住職にお経を唱えてもらい、供養した上で、仏壇を処理しました。そして、ご先祖様の位牌をお寺に献上し、供養してもらいました。Aさん家族は、今後、お寺に来れば、お墓に来なくてもお寺に置いてある位牌の前でお線香をあげることができます。お墓は、お寺の住職に手配してもらい、専門の業者に受注してなくす作業をしてもらいました。Aさん夫婦は、自分たちが他界した後は、ご先祖同様、同じお寺に永代供養してもらうよう住職と娘に伝えました。
永代供養をしてからは、Aさんは肩の荷がおりて、すっきりとした気持ちになったということです。お墓のことで、娘に苦労や手間をかけたくないという気持ちと、かといってご先祖はおろそかにしたくないという気持ちがありましたので、最善の対処ができたと納得しています。
このように、お墓を永代供養することで、自分が亡くなったあとのことを心配せずにするという方法もあります。一つの方法例としてご参考になりましたら幸いです。